システムレベルにおいての研究(システム神経科学)では、神経回路が解剖学的また生理学的にどうやって形成されるか、またそれらがどのように働くことで反射や知覚、感覚系の統合、運動制御、学習や記憶などの生理学的な機能が実現されているのかが研究の対象となっている。別の言い方をすれば、システム神経科学者は動物のふるまい・行動を生み出す神経基盤、またそのメカニズムを探ろうとしている。たとえば、システムレベルの研究ではそれぞれ個々の知覚や運動様式、あるいはそれらに共通するメカニズムを研究対象とする:視覚はどのように働いているのか? 鳥はどうやって新しい歌を覚えるのか? コウモリは超音波を用いてどのように自分の位置を知ることが出来るのか? 神経系はどうやって情報をコードしているのか?
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認知レベルにおいての研究(認知神経科学)では、神経回路がどのように心理・認知機能を生み出すのかが研究の対象となっている。近年、ニューロイメージング(例:fMRI、ポジトロン断層法 (PET)、単一光子放射断層撮影 (SPECT)、近赤外線分光法 (NIRS) )や電気生理学、経頭蓋磁気刺激法 (TMS)、ヒトの遺伝子解析などの強力な研究手段が発達してきたことにより、神経科学者(特にこのレベルの科学者を認知脳科学者とも言う)はヒトの認知や感情などのより抽象的な機能がどのような神経回路によって担われているかということについて研究を行うことが出来るようになった。従来は科学の枠組みを超えていると考えられてきた多くの精神的なプロセスが神経活動と強固に結びついていることが解明されつつある。
最近の傾向として、神経科学は社会科学の諸分野とも関連を持ちはじめ、新たな学際分野として神経経済学、決定理論、社会神経科学などが発展しつつある。これらの分野は、脳と社会環境の相互作用などのより複雑な問題を扱う。
神経学 (Neurology) や精神医学 (Psychiatry) は医学上の専門分野であり、学究的な研究の世界では、特に疾病を対象とした神経科学の一分野とみなされている。これらの単語はまた臨床医学上の分類でもある。神経学は脳梗塞や筋萎縮性側索硬化症 (ALS) などの中枢及び末梢神経系における疾病を扱うのに対し、精神医学は主に精神障害を対象とする。両者の境界は近年ぼやけてきており、どちらを専門とする医師も通常は両方の訓練を受ける。神経学も精神医学も神経科学の基礎研究に深く関与し、また影響を受けている。